+200円で楽しむ水出しコーヒー

ペットボトルを再利用した水出しコーヒーを紹介します。ペーパードリップの器具を持っていれば、+200円(+税)で水出しコーヒーを楽しむことが出来ます。

日本ではかなり昔に、ドリップ式(透過抽出+自然濾過)の水出しコーヒーの器具が販売され、「ダッチコーヒー」や「京都コーヒー」等の名称で紹介されることもありましたが、最近は、アメリカ西海岸を発祥とする店舗で「コールドブリュー」(浸漬抽出)の器具が展示・販売されています。

ここで紹介するのは、最近は見かけることの少ない、ドリップ式 (透過抽出+自然濾過) で、浸漬抽出に比べて油分・雑味の少ない、上品な味わいのコーヒーに仕上がることが特徴です。

水出しコーヒーは時間がかかる印象がありますが、2杯分程度なら、抽出時間をそれほどかけなくても、2時間程度の抽出で十分な味わいに仕上がり、手軽に楽しむことが出来ます。

必要なもの

飲み終えたペットボトルは衛生上の問題から、飲用水のペットボトルが良いと思います。小型の網は100円ショップで入手可能で、大きさの制限は特にありませんが、15㎝程度のものが使いやすいと思います。(以上が材料)

加工には、1mmのドリル、カッター、テープが必要ですが、極力手持ちの物を活用することにし、テープは救急絆創膏(カットバン)で代用しています。多くの人はドリル(100円ショップで入手可能)を新たに調達するだけで済むはずですので、網と合わせて200円(+税)ということになります。

加工手順

ペットボトルのねじ部分を観察して先端部分でネジ山が終わり、平らになっている部分を見つけて、キャップを締めても場所が分かる様に、ボトル本体にフエルトペン等でマークを付けます。

キャップを締めて、対応するキャップ部分をマーキングします。

テープ(写真では救急絆創膏で代用)を約5㎜幅に切り出します。

ペットボトルからキャップを外し、カッターで切り込みを入れる際の目安とするためにマーキングした部分に対応する形で、キャップ側面にテープを貼ります。

キャップをひっくり返し、カッターで切り込みを入れます。手を切らない様に注意しながら、キャップの端から、カッターで圧力をかける感じに切り込みを入れて行きます。多少曲がっても問題ありません。(実際に曲がってしまいました)

切り込みを入れた部分を起こします。

キャップをボトル本体に取り付けて締めこみます。この時、ボトル本体のマーキング位置と切り込みの対応が取れていることを確認します。(ネジの切り方により、別の位置に締まるキャップがあるかもしれませんが、その時はやり直して、マークと対応させます)

キャップの内側のリブとボトルの重なり部分に、1㎜のドリルで穴を開けます。(ドリル初心者の方は、ドリルを一度別のところで使ってみて、慣れてからトライしてみてください)

キャップを外して拡大した写真です。結構ギリギリですが、大丈夫です。この時、バリ(切りくず)をとっておきましょう。

ドリップするときは、ボトルの上側を倒立させて使うので、実際に使う水の量が余裕をもって入れられる容積を残して、ボトルの底側を切り離します。底側はフエルトペンでメモリを書き込んで、メジャーカップとして使っても良いでしょう。

網の針金を手でずらしてキャップが通る様に寄せます。(上の写真は一旦ボトルを取り付けた後に外して撮影したので針金がキャップに沿って円形に曲がっていますが、キャップが通る様に大まかに寄せればOKです。)

上の写真の様にキャップとボトルを網に通し、抜けない程度に針金を再調整します。

以上で加工は終わりです。

滴下速度の調整

上の写真が実際に使う時のセッティングになります。この状態で、ボトルに水を入れ、キャップを回して滴下のスピードを調整します。

穴の位置関係、出来上がりの状態により、キャップの回転方向と水の増減が逆になる場合がありますが、気にせず、左右に回して調整してください。まずは、1滴/秒程度にセットしてドリップを試し、再度お好みで調整してください。

使い方

通常のドリップ同様にドリッパー、濾紙をセットし、コーヒーの粉を入れます。左側に映っているのは、ピンボケですが、キッチンペーパーです。

キッチンペーパーを適当に折って、コーヒーの上に置きます。これは、水が均一に行き渡る為の工夫で、キッチンペーパーはある程度の厚さになる様に重ねてください。なお、フエルトタイプのキッチンペーパーでは滴下開始時に水の馴染みが悪い場合があるので、紙のキッチンペーパーの使用をお勧めします。

ドリッパーの中心に滴下される位置にセットし、水を注いで抽出開始です。

抽出開始当初は抽出液の色が薄いので不安ですが・・・

しばらくすると、色が濃くなり・・・

抽出完了です。ボトルの水が多少残る場合がありますが、あまり気にせず、滴下が終わっていればOKとします。

飲んでみます

お湯のドリップの時も同様ですが、念のためかき混ぜて、カップに注ぎます。豆の種類、ロースト、挽き方によるとは思いますが、「コールドブリュー」よりもすっきりした味わいでありながら、コクがある感じです。

水出しコーヒーはもちろん温めて飲んでも良いのですが、私は抽出したままの温度で(且つ氷を入れず)飲んだ時に独特のアロマが口に広がるのを楽しんでいます。独特のアロマが感じられるのは、体温よりも低い温度で抽出することにより、お湯でドリップした時には揮発してしまう成分が残り、口中で温められた時に水出しならではの成分が広がるためと考えられます。

最後に

約30年前に、ハリオの滴下式の器具を購入したものの、扱い辛さと使用後の洗浄が面倒なためお蔵入りになっていました。最近はやりの「コールドブリュー」も悪くはないのですが、最近はここに紹介する方法を見出し、スッキリしていながらコクもある水出しコーヒーを楽しんでいます。

説明をくどく書きすぎた感じがありますが、実際の加工は思ったよりも簡単です。

水出しコーヒーの呼び方は古くは「ダッチコーヒー」と呼ばれていた時代がありますが、かなり昔にオランダの家電メーカーと食事をする機会があり、「ダッチコーヒー」について尋ねたところ、「知らない。それは何だ?」とのことでした。余談ですが、この時のビジネスの内容はすっかり忘れてしまいましたが、全員が巨漢だったことを今も思い出します。