フォレスターと遊ぼう 0

目次に代えて

SJフォレスターのA型XT→E型XTと乗り継ぎ、フォレスター”で”遊んできましたが、ビッグマイナーチェンジを受け、SKフォレスターのD型SPORTに乗り換え、走行距離が約1万kmに達しました。

納車後、1年未満(8か月)ですが、各季節での状況がほぼ判明したので、遊び道具としてのフォレスターの観察結果を紹介するため、フォレスター”で”遊ぼうではなく、「フォレスター”と”遊ぼう」と題して、雑文を書くことにしました。

初回は目次代わりに、今までに気づいた点を大づかみに記します。

なお、私は、スバル車を6台乗り継いでいますが、「SUBIE」を名乗るには道半と自覚しています。しかしながら、スバルびいきは自認しており、「スバラー」程度には位置していると思います。従って、スバルサイドに偏った内容となっていますので、皆様が参考にされる際には、その点を割り引いて判断して頂きたいと思います。

SK-D型SPORTの出来が今までになく良いと感じ、E型が出た今となっては一世代前となりますが、本質的な部分に変更はなく、様々な意味でフォレスターと遊んでみて分かったことを発信して行きます。

SKフォレスターD型は間違いなく”すばるしい”出来です。

”すばるしい”とは、”すばらしい”と”スバルらしい”を掛け合わせた造語で、

単にすばらしいだけでなく、スバルらしさが加わったすばらしい状態

を指す言葉として勝手に使うことにしました。

初回は文章ばかりになりますが、大まかな観察結果を記すことにします。

アイサイトの進化

SKフォレスターのアイサイトはD型で大きく進化し、アイサイトXこそ搭載されていませんが、大幅な機能・性能の向上が図られており、実際のドライブシーンにおいても、それが実感できます。

アウトバックで利用可能な、

・限られた速度域でのハンズフリー運転
・精密な地図情報による速度の自動制御 等

は実装されていませんが、D型ではカメラの広角化、ソフトウエアの進化等と相まって、レーンキープの性能向上、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の追従性改善等が図られ、ドライバーのアシスト性能が大きく向上しています。

アイサイトについては、多くのレビュー記事があるのでそちらを参考にして頂きたいと思いますが、個人的には、現状のアイサイトXの操作系が目視が必須のタッチ式であることから、もう少しこなれるまで待った方が良いと判断し、アイサイトX非搭載のフォレスターを積極的に選択しました。

アイサイトX抜きでも、スバル独自のアイサイトの進化は”すばるしい”!

電装品(エレキの仕掛け)の強化

スバルがトヨタ傘下となったことには様々な意見があると思いますが、以前のスバル車では、オートライトでさえ後付けセンサーでのオプション扱いだったことを考えると、トヨタ(および関連企業)の技術へのアクセスが容易になり、エレキ関係の実装が格段に進化していることは喜ばしいことです。

特に、D型以降での、スマートリアビューミラーとADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)は強くお勧めできる装備です。(次項で説明)
その他、アクセスキーの停止機能、電動ハッチ、シートヒーター、USB電源など、多くの電装機器の追加、改善がなされています。

独立性を保ちつつ、トヨタのリソースを使った”すばるしい”仕事です。

スマートリアビューミラー

SKフォレスターのスマートリアビューミラーは、鏡で構成される通常のルームミラーの機能に加え、リアウインドー上部のカメラの映像(後方の鏡像)をルームミラーと同じ面に映し出す機能を加えたもので、鏡の像とカメラの像を切り替えて使うことが出来ます。

私はもともとの遠視に加え老眼が加わっており、目の焦点をルームミラーに合わせるのが困難なため、カメラの映像に切り替えての使用は厳しいと考えていました。ところが、実際に使ってみると、カメラ映像は何よりも見える範囲が広く、通常の鏡には戻れなくなりました。

カメラによる後方映像の範囲と左右のサイドミラーで確認できる範囲を合わせると、一瞬の途切れがありますが、後方から追いつき、追い越して行く車両はほぼ見え続けます。後方レーダーによる車両検知と併せれば、後方の死角がほぼ解消されています。

ビデオカメラの性能という意味での欠点は多々ありますが、周囲の状況確認という機能に着目すれば、良く作り込まれており、単純な鏡に比べて機能は格段に向上しています。

ただし、機能を生かすためには、カメラの向きなどを適切に調節するのが必須であり、納車時や点検時にユーザーとの対話を行いながらの少し手厚いサポートが強く望まれます。

安全性が大きく向上した、”すばるしい”仕事です。

ADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)

D型の評論ではしばしば、フェイスリフト(フロント周りを中心にした外観変更)という言葉が使われますが、はっきり言ってそれは、スバルに失礼です。

機能面ではADBの方式がシェード式から、アレイ式に変更されており、前方の方向指示器も格段にキビキビとした印象となっています。従って、単なるフェイスリフトではなく、まず、機能の進化があり、それに伴い、意匠も変更したというのが正確な言い方の様に思います。

SJ-E型XTのシェード式、SK-D型SPORTのアレイ式を比べると、アレイ式では、中心部の過剰な輝度のピークが抑えられ、対向車線の歩道を含む範囲にまで照射範囲が拡大されています。
また、対向車を含む周囲の状況への適応速度と正確性が増すと共に、適応動作自体はドライバーに意識されにくく改良されいています。これらは目立たない改良ながら、夜間運転の疲労軽減に大いに貢献すると思われます。

ヘッドライトユニットはKOITOのロゴ入りなので、

スバルと小糸製作所のコラボが”すばるしい”!

加速性能

SJ-E型XT:280馬力、SK-D型SPORT:177馬力という数値から、0-100km/h、0-400m等の絶対的な加速性能は、仕事の量(=馬力)で勝るSJ-E型XTに軍配が上がると思われますが、実用域での加速性能はSK-D型SPORTで特に不満を感じることはありません。

SK-D型SPORTではACC(アダプティブクルーズコントロール)加速レベルをメニューにより4段階に切り替えられます。従来からあるステアリングのボタンで切り替える、2つのSIドライブモード(Intelligent mode、Sport mode)との組み合わせによる8通りの加速の違いを期待しましたが、Intelligent mode、Sport modeでの差はありませんでした。
停止状態からACCを使った60km/hへの到達時間は以下の通りです。(先行車なし)

ACC加速レベル  60km/h到達時間(SIドライブモードに依存せず)
Eco        約28秒
Comfort      約22秒
Standard       約17秒   *初期設定
Dynamic        約14秒

一方、SJ-E型XTでは加速レベルの切り替えはありませんが、SIドライブモード(Intelligent、Sport、Sport#の3モード)を切り替えると、60km/hへの到達時間は以下の通りに変化しました。(先行車なし)

SIドライブ    60km/h到達時間(加速レベルの切り替え機能なし)
Intelligent       約18秒
Sport        約15秒
Sport#       約12秒

SK-D型SPORTの加速レベルStandardがSJ-E型XTのIntelligentモードとほぼ同じ味付け、SK-D型SPORTの加速レベルDynamicがSJ-E型XTのSportモードに近い味付けという感じでしょうか。

道路事情、法規順守の観点から60km/hまでの測定となりましたが、トルクバンドの回転数範囲に鑑みて、100km/hあたりまでの実用性能においては、SJ-E型XT同様の加速感を得られると考えられます。

ダウンサイジングしながら加速感をキープ、”すばるしい”!

燃費

私の使用環境に於ける燃費については、アイドリングストップを使用しなければ、北関東の地方都市内、地方都市間(山道あり)、自動車専用道路が適度に混じったコンディションで、SJ-E型XTとSK-D型SPORTであまり大きな差はありません(というより殆ど同じです)が、燃料費は、ハイオク仕様のSJ-E型XTに対して、レギュラー仕様のSK-D型SPORTの方が安くなります。

また、エンジンの仕組みと季節要因の組み合わせにより、以下の違いがみられました。

・春、秋等、過ごしやすい気温でエアコンがあまり稼働しなければほぼ同等
・エアコンが活発に稼働すると、SK-D型SPORTの方が燃費の悪化割合が高い
・寒冷時にはSK-D型SPORTの方が燃費の悪化が少ない

エアコンの稼働については、排気量の差が効いていて、排気量に余裕があるSJ-E型XTの方が燃費の悪化が少い印象です。

一方、寒冷時に問題となる単位体積当たりの酸素量増加に伴う噴射燃料の増量が、SK-D型SPORTに備わっている積極的なEGRの活用とリーンバーンにより、抑制されること、併せて、SK-D型SPORTの方が暖気が格段に速いことからリッチな混合気となる期間が短いことなどから冬場の燃費の悪化が抑制されていると想像されます。

なお、燃費は道路状況で大きく変化するためあまり参考にはなりませんが、上述の環境で平均すると12~13km/l前後です。個人的好みからアイドリングストップは殆ど使っていません。

EGRとリーンバーン、凝った仕掛けが”すばるしい”。
が、EGRセンサの不具合でエンジンストール(改善済み)は残念!

NVH(Noise、Vibration、Harshness)

タイヤのパターンノイズは抑えられていますが、外部からのノイズの遮断性能は必ずしも高くはありません。付け加えると、SJ-E型XTでは気にならなかった、補器(冷却ファン等)の稼働音もはっきり聞こえます。

静粛性については同じCB18を搭載するアウトバックの評論を踏まえると大きな差かもしれませんが、重量差100kg、価格差100万円を考えると、ある意味、納得できます。

一方、バイブレーションとハーシュネスの抑制については、SJ-E型XTに比べて格段に向上している印象を持ちます。バイブレーション、ハーシュネスから少しずれてしまうかもしれませんが、サスペンションの接地感・追従性の向上がはっきり分かり、SJ-E型XTで時々感じられた、跳ねる様な感じが抑え込まれています。

スバルのサスペンションはストローク(トラベル)が長く、ストロークの短いサスペンションを持つホンダ系のショウワ(現日立アステモ)のショックとの相性が心配されましたが、杞憂に終わり、相性は良いようです。

更にNVHの話からそれてしまいますが、サスペンションの幾何学的形状から決まる旋回中心(ロールセンター)と重心のずれが少ないせいか、旋回中の挙動は非常に安定しいます。また、背の高い車で起きがちな旋回開始時等の車体上部のゆすられ感もほとんど感じません。

シャシ性能とサスペンションの進化が”すばるしい”!

目次代わりの第0回はこのあたりで。。。

ここに書ききれなかったり、これから気づく事などを含め、しばらくの間SK-D型フォレスターSPORTについて書き進めることにします。