黒球付熱中症指数モニターを使ってみました

今年(2018年)は高気圧が元気すぎて、7月から酷暑が続き、屋外での作業にも支障をきたす状況が続いています。私事ですが、定期的に草刈をしなければならないのですが、涼しい日が全くないため、作業のタイミングを見極めるため、日射を考慮した熱中症指数モニターを使ってみました。

熱中症を含む暑熱環境に於いて人が受ける熱ストレスの評価指数の国際基準がWBGT(Wet Bulb Globe Temperature)です。

WBGTは少し前まで「熱中症指数」と呼ばれていた様ですが、直近の環境省の「熱中症予防情報サイト」では、「暑さ指数」と表記されています。呼称が変わった理由はなんとなく想像できますが、個人的には、「暑さ指数」よりも、「熱中症指数」の方が意味するところが分かりやすいと思います。

WBGTの詳細については、環境省のサイトをご覧いただきたいのですが、指数の計算式には、屋内用と屋外用の計算式があります。

屋内用計算式:WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

屋外用計算式:WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

上の式で、黒球温度とは、黒く塗装された球の中の温度を示し、本来は直径約15cmの黒く塗装された銅製の球の中心温度を用いますが、今回購入した熱中症指数モニターはプラスチック製の直径4cmの球体により黒球温度を求めています。

機種選定

機種選定にあたっては、屋外作業のタイミングを見出すという目的に鑑み、実体としての黒球が装備されていることを必須とし、使いやすさ、価格等を考慮し、(株)エー・アンド・ディの「みはりん坊プロ」(AD-5698)を購入しました。

同梱物はこんな感じです。

機能概要

詳細仕様等はメーカーのサイトを見ていただくとして、屋外での使用を中心に簡単に機能を紹介します。

写真を見ると分かる通り、実体としての黒球を持ち、黒球温度の測定が可能となっています。また、黒球と本体をつなぐネックの部分に、温度センサ、湿度センサが内蔵されています。

液晶表示部は、上半分に、WBGTが表示され、下半分の右側に相対湿度が表示されます。下半分の左側には、スイッチ操作により、気温と黒球温度を切り替えて表示することができます。湿球温度を表示することはできませんが、湿度と気温から湿球温度を求め、演算によりWBGTを求めていると推測されます。また、熱中症指数の各段階に応じ、液晶の最上部に表示が行われます。

個人的には、作業しながらモニターするという使い方は想定していないので、詳しくは書きませんが、熱中症指数の値でアラームが設定可能で、ユーザーが任意に設定できる他、厳重警戒と危険に達したときにアラームが動作するお任せモードがあります。

スイッチ操作はやや特殊な感じで、「電源」、「▼」、「▲」の同時押しで、設定変更を行うモードに入り、「▼」または「▲」押下により屋内モードと屋外モードを切り替えます。それぞれのモードに応じ、「IN」、「OUT」が液晶に表示されます。

また、「▼」、「▲」同時押しで、気温と黒球温度の表示の切り替えを行います。

ボタンの出っ張りが少ないため、ボタンを同時押しするのには慣れが必要ですが、設定が不用意に変わらないための配慮と思われます。

背面には、ベルトクリップがあり、腕等に取り付け可能となっています。また、電池ボックスのふたも裏面にあります。Made in Chinaの文字が見えますが、勘合が悪かったり、ウエルドラインが見える様なこともなく、かつ過剰品質でもなく、よい出来栄えです。

本体下部には、三脚に取り付けるための雌ネジが切られています。雌ネジはプラスチックに直接ではなく、金属製となっており、良心的な設計です。

三脚に取り付けるとこんな感じになります。

取説に従い、1.5mの高さにセットするとこの様な感じになります。

実際に使ってみました

まだ屋外でしか使っていませんが、購入したメリットは十分に感じられました。

上の写真は庭での計測例で、「危険」レベルとなっています。気温40.1度、相対湿度35.2%、WBGT32.7(31以上で「危険」レベル)

黒球温度の表示に切り替えた写真がこれです。TG:黒球温度50.4度。草刈は当然中止です。

次の例は気温がかなり高いにも関わらず警戒レベルに留まっている例です。

気温37.5度、湿度23.8%、WBGT26.9(警戒)。計算式から予測できてはいましたが、WBGTは湿度(湿球温度)の寄与率が一番高く、気温が35度越えでも、湿度が低いため、警戒にとどまっています。(警戒の上が厳重警戒、その上が危険)

この時、TG:黒球温度40.6度。

厳重警戒の例。厳重と警戒の2つのインジケーターが表示されています。

草刈はできたのか?

何日かの観察で、以下の順番に考慮(予想)すると活動のタイミングを見出しやすいことが分かりました。

1.湿度が低いこと

2.日射が少ないこと

3.気温が低いこと

実際に、気温は高いものの、湿度の低そうな日を見定め、夕方になるのを待って、無事に草刈を終えることが出来ました。

WBGTを実際に測定することにより、作業環境を定量的に把握し、判断することが可能となりました。非常に有用なアイテムを手に入れることが出来たと思います。