フォレスターと遊ぼう 1

 

ACC加速性能

 

SK-D型SPORTではACC(アダプティブクルーズコントロール)加速レベルをメニューにより切り替える機能があり、大いに期待して計測を行いました。

期待した理由は。ACC加速レベルが、4段階(Eco、Comfort、Standard、Dynamic)、従来からあるステアリングのボタンで切り替える、SIドライブが2種類(Intelligent mode、Sport mode)あり、これらの組み合わせにより、8種類の加速を味わうことが出来ると考えたからです。

と・こ・ろ・が・です。

まずは8種類の加速の様子をグラフ化したものをご覧ください。

このグラフは設定速度を60km/hとし、先行車なしの状態でACCをオンにした時の加速の様子を示しています。

ご覧の通り、SIドライブ(Intelligent、Sport)が違っても、グラフがほとんど重なっています。厳密には重なっていませんが、これはサンプリングのタイミングのずれによるもで、非同期誤差の範囲に収まると考えられます。

と・い・う・訳で

期待外れではありましたが、それぞれの加速レベルにつき個別に見て行きます。(Intelligentモードを示し、Sportモードは割愛)

ACC加速レベル:Eco

SIドライブがIntelligent、ACC加速レベルがEcoのグラフです。

青色が速度、赤色が加速度を示しています。加速度の単位は通常”秒速”表示ですが、分かりづらいので時速[(km/h)/S]に変換しています。加速開始が3秒、加速度ゼロが31秒と読み取ると、

31-3=28となり、約28秒で時速60km/hに達していることが分かります。

また、加速度のグラフから、最初の出足が突出していますが、3(km/h)/S以下の穏やかな加速が続いていることが分かります。

ACC加速レベル:Comfort

グラフの読み方はEcoと同じです。

25-3=22、約22秒で時速60km/hに達しています。

こちらも最初の加速が突出していますが、5(km/h)/S程度に上がったのち、しばらくして徐々に加速度が下がって行きます。

ACC加速レベル:Standard

20-3=17、約17秒で時速60km/hに達しています。

5(km/h)/S程度の加速度が続いています。

ACC加速レベル:Dynamic

17-3=14、約14秒で時速60km/hに達しています。

一番大きな加速が与えられています。

速度についてまとめると、先行車なしで、ACCを使った60km/hへの到達時間は以下の通りです。

ACC加速レベル  60km/h到達時間
Eco         約28秒
Comfort      約22秒
Standard        約17秒  *初期設定
Dynamic      約14秒

一方、SJ-E型XTではACC加速レベルの切り替えはありませんが、SIドライブモード(Intelligent、Sport、Sport#の3モード)を切り替えると、60km/hへの到達時間は以下の通りに変化しました。(先行車なし)

SIドライブ     60km/h到達時間(加速レベルの切り替え機能なし)
Intelligent       約18秒
Sport        約15秒
Sport#       約12秒

以上をまとめると、SK-D型SPORTの加速レベルStandardがSJ-E型XTのIntelligentモードとほぼ同じ味付け、SK-D型SPORTの加速レベルDynamicがSJ-E型XTのSportモードに近い味付けという感じになります。

SJ-E型XTとの比較対象にならないEco、Comfortはどんな感じかと言いますと、XTの加速に慣れてしまっている身としては、一言で言って、「物足りない感じ」、場合によっては「焦りを感じる」レベルです。

しかしながら、一つの考え方として、穏やかな加速設定にしておいて、加速が必要な場合はアクセルを踏み増すという使い方があるかもしれません。このあたりは今後の課題にしたいと思いますが、加速レベルがもう少し容易に(理想的にはワンタッチで)切り替えられれば、渋滞等の道路事情に対して適応しやすくなるかもしれません。

モードの数が多すぎるのはUI(ユーザーインタフェース)として問題ありだとは思いますが、2種類の設定(ACC加速モードとSIドライブ)の役割を整理し、今後、より使いやすく改良されることを期待したいと思います。

更に言えば、モードがあること自体理解できるユーザーは少ないので、これに限らず、せっかくの機能をユーザーに使ってもらえる工夫に期待したいと思います。

結論

SJ-E型XT:280馬力、SK-D型SPORT:177馬力という数値から、0-100km/h、0-400m等の絶対的な加速性能は、仕事の量(=馬力)で勝るSJ-E型XTに軍配が上がると思われますが、実用域での加速性能はSK-D型SPORTで特に不満はないでしょう。

道路事情、法規順守の観点から60km/hまでの測定となりましたが、トルクバンドの回転数範囲に鑑みて、100km/hあたりまでの実用性能においては、ACC加速モードの設定が、Standard、Dynamicであれば、ACC使用時にSJ-E型XT同様の加速感を得られるていると思います。

ダウンサイジングしながら加速感をキープ、”すばるしい”!

今回はこのあたりで、