フォレスターと遊ぼう 2

スタッドレスタイヤ(DM-V3)の表面観察

春到来を受けて、フォレスターのタイヤ交換を行いました。今回はフォレスター本体から少し脱線しますが、スタッドレスタイヤの表面を観察してみることにしました。

よく考えると、冬タイヤは季節外れのトピックになってしまうのですが、タイヤ交換を好機ととらえ、何とか工夫して表面のテクスチャ(凹凸)を観察してみました。必ずしも満足できる映像が得られたわけではありませんが、備忘録代わりに記事をアップしておくことにします。

冬タイヤは、SJ-A型XT→SJ-E型XTへの乗り継ぎに同期する形で、ブリヂストンのVRX→VRX2と更新してきました。これは、居住地の気候・風土に鑑み、氷上性能を第一に考え、特許技術であるアクティブ発砲ゴムが採用されているVRXシリーズを選んだ結果です。

今回、SK-D型SPORTへの乗り換えにあたり、VRX2の減り具合から、あとワンシーズン位は使えそうだと踏んでいたのですが、誤算が生じました。誤算とは、PCDの変更で、SJからSKへのモデルチェンジに伴い、ホイルの穴の位置を示すPCDが変更になっていたのでした。

PCD           SJ:100mm  (5穴)       SK:114mm  (5穴)

新しいホイルに古いタイヤという組み合わせは考えられず、ホイルを含めて冬タイヤを新調することにしました。冬タイヤの選定にあたっては、アクティブ発砲ゴムが採用されていることに加え、地元工場への愛着から、いつもブリヂストン一択ですが、どのタイヤにするかで迷いました。

順当に選べば、VRX2の後継にあたるVRX3ということになるのですが、VRX3はSUVにはサイドウオールが柔らかすぎるとも考えられ、DM-V3とVRX3のどちらにするかで迷いました。氷上性能重視なら、VRX3ですが、スバルのサイトではフォレスターへのお勧めはDM-V3となっています。

結局、通勤に使わなくなったこともあり、危ない時には車に乗らないという選択が可能となったこと、DM-V3の発砲ゴムははVRX2相当であり、VRX2の使用経験から挙動がある程度わかっており、十分な性能と判断できる事等を考えあわせ、費用も安くなることから、DM-V3をチョイスしました。

氷上・雪上性能はもちろんのこと、乾燥路走行時の違和感の少なさ、更には雨天の性能を含め、結果的には非常に満足度が高い選択となりました。後で気づいたのですが、SJ→SKに伴い、指定空気圧も高くなっており、SUV用のDM-V3を選択してよかったと思います。

観察結果

前書きが長くなってしましましたが、スタッドレスタイヤDM-V3の表面の写真をご覧ください。

この写真はタイヤ表面のテクスチャを薄膜に転写し、デジタルマイクロスコープで観察したものです。倍率は意外に低く、横幅方向に映っている範囲が、実物の約9.5mmです。

ブリヂストンのカタログ等では、もう少し、”発泡”の状況がそれらしく掲載されているのですが、実際に使用中のタイヤでは、エッジがすり減るため、テクスチャの境界が曖昧になっています。しかしながら、表面の凹凸は確認でき、凹の部分に水が逃げて、凸の部分でグリップすることが何となく理解できます。

次に別の部分の観察結果を示します。

手法、倍率は同様です。

この写真では、テクスチャの形状が異なっています。タイヤの成形上の条件により形状が異なるのかもしれませんが、本当のところはわかりません。いずれにしても、凹凸の形成は見られ、水の逃げ場は確保されています。

なお、テクスチャの大きさは想像していたよりも大きく、目の良い方なら、裸眼で直接観察できるかもしれません。何が言いたいかと言いますと、ある程度の大きな発泡でなければ水分を逃がすことが出来ず、摩耗を受けながら比較的大きな凹凸を継続的に発生させるのが技術の肝であると理解できました。

最後に、フォレスター純正のオールシーズンタイヤの表面を示します。

手法・倍率は同様です。

前輪、後輪でタイヤ表面の荒れ方が異なるのですが、あえて荒れている(表面がざらついて見える)前輪の表面を観察してみました。

DM-V3と比較すると、テクスチャの大きさが圧倒的に細かく、また、高さも低いことが観察できます。

オールシーズンタイヤなので通常のサマータイヤとは表面のテクスチャが異なる可能性はあるものの、水を逃すための大きなテクスチャは見当たらず、違いがあることが分かります。

最後に、撮影方法について説明しておきます。

当初、マイクロスコープでタイヤを直接観察したのですが、タイヤの色が黒いこともあり、上手く観察できませんでした。種々検討したのですが、最終的には、以下の手順を確立しました。

撮影手順(参考)

1.タイヤ表面をクリーニングする

2.樹脂をタイヤ表面に押し付け、(反転した)形状を転写

3.反転した形状表面に、別の樹脂を塗布し、薄膜を成形

4.薄膜の下に黒のシートを敷き、照明の角度を調節

5.倍率を調整し観察

最後に

型取り用の樹脂の粘度の問題、薄膜成型時の気泡の混入等、改善すべき点は多々ありますが、上の方法で何とかタイヤのテクスチャを観察することが出来ました。

今回はただ単にスタッドレスタイヤ(ブリヂストン・DM-V3)の表面を観察しただけになってしましましたが、実際に表面のテクスチャを観察することで、水分を抱え込む部分と地面に設置する部分の働きを想像することが出来ました。

ブリヂストンの特許技術であるアクティブ発砲ゴムは初期の特許が期限切れとなって来たことから、他社でも同様のゴムを使用可能となっています。
環境の整っている方は比較観察してみるのも面白いでしょう。