スマートキーの収納方法あれこれ

スマートキーの車内への収納法を検討するにあたり、原理についての極々簡単な説明と検討した方法について紹介します。

スマートキーに対応した車両では、車内に置かれたキーを検知する機能があるため、スペアのスマートキーが車内に置かれた状態では施錠ができない仕組みになっています。

スマートキーの機能を通常通り利用しながら、スペアキーを車内に保管するためには、車とスマートキーの電波による送受信を遮断する必要があります。

車両側に手を加えるのは技術的に非常に困難であるばかりか、各種法令にも抵触する可能性が高いため、キー側で電波を「遮蔽(シールド)」する方法を検討しました。

遮蔽(シールド)の種類

電波は電界と磁界が交差したものであり、シールドを考える場合、次の3種類のシールドを理解しておく必要があります。

・静電シールド

・磁気シールド

・電磁(波)シールド

それぞれについて詳しく知りたい方は、上の3種類のキーワードで検索すれば、説明サイトにたどり着けると思います。また、技術的な説明が分からない方は、以下の説明を読み飛ばしてください。

静電シールド

電界(電気力線)を遮蔽するのが静電シールドです。放電前の静電気も電界がかかった状態の身近な例と言えます。対象物を導体(金属板など)で囲うことで比較的簡単に高い効果を得ることができます。

磁気シールド

磁界(磁力線)を遮蔽するのが磁気シールドです。磁界(磁力線)の身近な例は、永久磁石で、砂鉄等で、磁力線を容易に観察することができます。磁気シールドは、磁性体で磁界をそらす(磁路を変える)というイメージですが、磁石を鉄に吸着すると鉄が磁石になることからも分かる通り、磁界自体が消滅する訳ではなく、効果を得るのに相応の対策が必要となります。

電磁(波)シールド

ここでは、磁気シールドとの対比で説明します。磁気シールドの項目で例に出した永久磁石は磁力線の向き・強さが一定ですが、磁力線の向きと強さが時間と共に変化する場合、上記磁気シールドとは異なる原理で磁界に対してシールド効果が発生します。

シールドを目的とはしていませんが、IHクッキングヒーターが身近な例で、高周波磁界を発生する装置の上に置かれた鍋(金属)に発生する渦電流を熱に変換しています。即ち、高周波磁界を遮る形で金属版を挿入し、渦電流によりエネルギーを消費することでシールド効果が得られます。

検討した収納方法と実験結果

電波は電界と磁界が交差したものということを念頭に置き、上記3つのシールド要素を組み合わせて収納方法をいくつか考えてみました。なお、市販されている携帯電話用の電波遮断ポーチについては、種類が多く一般化することが困難なため、検討を行っていません。

1.アルミ箔で鍵全体を覆う(成功)

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原理としては、静電シールドと電磁(波)シールドの適用ということになります。結果としては、ある程度の大きさに切ったアルミ箔で十分な重なりを持つ形で、キー全体を包めば実用になることが分かりました。

2.携帯灰皿に入れる(失敗)

原理としては、静電シールドと電磁(波)シールドの適用となり、アルミ箔の場合と似ていますが、十分な効果が得られませんでした。キー全体をアルミで包んではいますが、ラミネートになっているため、非導通部分が開口部として残ることと、包み方が一重であることから十分な効果が得られなかったと推測されます。

3.鉄の缶に入れる(失敗)

原理としては、静電シールド、磁気シールド、電磁(波)シールドの全部の要素を持つことになりますが十分な効果が得られませんでした。勘合部分が開口部として働くことと、板厚が0.25mmと、十分な厚みがなかったことが原因と推測されます。

4.鉄製の箱(板厚1.25mm)に入れる(成功)

原理としては、静電シールド、磁気シールド、電磁(波)シールドの全部の要素を併せ持つと考えられ、十分な効果が得られました。

5.携帯灰皿に入れ、更に缶に入れる(成功)

原理としては、静電シールド、磁気シールド、電磁(波)シールドの全部の要素を持つことになります。十分な効果が得られました。

以上の結果と各シールド効果に対する推測を表にまとめました。

現在使っている方法とその理由

現在採用している方法は、5の携帯灰皿と缶の併用です。

当初は大き目のアルミ箔で包んでいましたが、耐久性に問題があり、結局アルミ箔で包んだ上で、袋に入れる等の対応が必要となり、アルミ箔の再利用にも不安があることから、鉄製の箱(厚み1.25mm)に移行しました。

写真の通り、頑丈な箱なので安心感があるのですが、重く、スペースファクターも悪いことから、適当な大きさの缶が見つかってからは、携帯灰皿と缶の併用に落ち着いています。

なお、鉄製の缶については、当初、クッキーの缶、蚊取り線香の缶、ハーブティの缶等を試しましたが、何れも同様の結果でした。(写真は便宜上小型の缶になっています)

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